語らい

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「あらあら、何だかその話だけで随分キナ臭くなって来たわね、つまりラステンブルク伯国は大事な貿易相手のパトロンみたいな国の意向に反してまでヴァイスブルク伯国に援軍を派遣し、更に不興を買うのを厭わずにヴァイスブルク伯国の逃亡兵の身請け保証までしてくれるって言うの?」 ミリアリアの説明を聞いてたアイリスは肩を竦めながら感想を述べ、ミリアリアは頷いた後に更に言葉を続けた。 「その通りだ、周辺国が日和見を決め込む中、ラステンブルク伯国のみが援軍を派遣してくれたんだ、無論その話を聞いた私達は奮い立ち死力を尽くしてロジナ候国軍に抵抗した」 「それでラステンブルク伯国から来た援軍はどうなったの?あの3人の話だとそれなりの戦力を残して退却出来たみたいだけど」 ミリアリアの言葉を聞いたアイリスは静かな口調で問いかけ、それを受けたミリアリアは暫く沈黙した後に顔をしかめながら言葉を続けた。 「ラステンブルク伯国から派遣されて来た援軍は当初国境付近の第一防衛線に配置された、だがその2週間後に我が軍の第六騎士団が裏切った為に防衛線が崩壊して援軍は我が軍と共に退却、態勢を立て直した我々は第二防衛線を構築して援軍と共に戦ったが3週間後に今度は我が軍の第七騎士団が裏切り再び防衛線が崩壊して我々は援軍と共にヴァイスブルク城に退却した。2度の撤退で2割程戦力を消耗させていた援軍はヴァイスブルク城に篭り共に戦うと告げてくれたが、ヴァイスブルク伯爵は度重なる醜態を援軍とラステンブルク伯国の全権大使に詫びた後にラステンブルク伯国へ帰還する様伝え、全権大使は帰還する代わりにヴァイスブルク陥落の際に生じた逃亡兵の身請け保証を約束して援軍と共に撤退した」 「強烈な人間至上主義国に寝返るなんて、随分と思いきった事するのね、頭を叩き割って中身を見てみたいわね」 ミリアリアの説明を聞いたアイリスは冗談とも本気ともつかない口調で裏切った第六、第七の両騎士団に対する感想を述べ、ミリアリアは俯きながら言葉を続ける。 「陥落目前になって分かった事だが、ロジナ候国軍は伯爵の甥アロイス・フォン・ヴァイスブルクの手引きで我が国に侵攻して来ていたんだ、第六、第七騎士団は奴の子飼いの部下が多い騎士団だったから奴の指示だろう、アロイスはヴァイスブルク伯国の継承を望み更に現在逃亡中のマリーカ様に横恋慕していたらしいから、それが理由だろう」
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