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「あらあら、随分小さな男なのねえ、その裏切者は、まあ、裏切者らしいと言えばらしいわねえ」
ミリアリアの説明を受けたアイリスは呆れ顔で呟き、ミリアリアは苦い笑みを浮かべて頷いた後に言葉を続ける。
「少し話が逸れたな、ラステンブルク伯国の援軍についてだがラステンブルク伯国は我等と交友が深いと同時にツェントラル同盟経由ではあるがロジナ候国とのパイプも有している、それを活かして援軍は2度に渡り我が軍とロジナ候国軍との間の停戦交渉を仲介してくれた、しかし結果ははかばかしく無く交渉の数日後にロジナ候国軍は総攻撃を始め、第六、第七騎士団が裏切りを行った」
「……随分タイミングが良いわね、まるで停戦交渉を名目にして示し会わせたみたい」
ミリアリアの説明を聞いたアイリスは形の良い眉を潜めさせながら呟き、その後に得心した様に頷きながら言葉を続けた。
「……成程、そう言う事があるからラステンブルク伯国を心から信用出来ない、ただし証拠が状況証拠だけで決め手に欠けるので声を大にして警戒を呼びかける訳にも行かない、と言う訳ね」
「ああ、ラステンブルク伯国は実際援軍を派遣してくれたし死傷者も出している、それに落ち延びる先がラステンブルク伯国しか無いのは事実なのだから、これだけの事で警戒を呼びかける訳にはいかない」
アイリスの言葉を受けたミリアリアは難しい顔つきで呟き、その呟きを聞いたアイリスは事も無げな様子で口を開く。
「取りあえずラステンブルク伯国が信用出来るかどうか調べられたら良いのよね?」
「えっ?……あ、ああ、まあ、そうだが」
ミリアリアはアイリスの言葉に対して怪訝そうな面持ちになりながら応じ、アイリスは得意気に微笑(わら)いながら言葉を続ける。
「夜が明けたら鳥や獣に化けさせた使い魔達を使って周囲を偵察させるつもりだったのよ、ロジナ候国軍や落ち延びている貴女のお仲間さんの様子を探るつもりだったんだけどその一部をラステンブルク伯国方面に進出させてラステンブルク伯国軍やそこに落ち延びたヴァイスブルク伯国の残党達の様子を探らせてみるわ」
「……本当かっ!?それはとてもありがたい話だ、だが……」
アイリスの言葉を受け喜色を露にさせたミリアリアだったがその顔色は直ぐに翳りを見せ、それに気付いたアイリスはゆっくりと頭(かぶり)を振りながら口を開く。
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