第1話「ポイント・マテリアル」

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      「胴鎧、俺の気に入りがない!!」 「あんたが遅いからでしょ、ベオ!?」 「お前こそ……」  確かに、この同僚である彼女も未だに戦支度を整えていないということは、彼ベオと同じく寝坊組だ。  クゥ…… 「くそ、まだ二日酔いが……!!」  響く鐘の音、そして外から聴こえてくる怒鳴り声やら悲鳴やらに。  ク、ウァ……  ベオの頭の中へ、軽くもやが差す。 「酒が、残ってやがる……」 「急いでね、ベオ!!」 「わかっているけど……!!」  ファフ…… 「わかっているけど、何!?」  ややに荒れたその肌に、彼女は上下共の下着を穿いた後、その上から短衣を羽織り。 「そっちこそ急げよ!!」 「急いでいるわよ!!」  前後が割れた革鎧、胴部のみを保護する防具である胴鎧(クィラス)の中央に空いた穴へ、傭兵仲間の女性は自身の頭を差し入れ。 「何をベオ、あんたはボサッとしているのかという事!!」 「自分の胸に聞け!!」  服を着る要領で女性用革鎧を纏い、胸の辺りを僅かに身動ぎさせ、調える。 「お前の胸に、二つ付いている頭にな!!」 「聴いたけど、キツいって言ってる!!」 「そう、ですか!!」 「だから、何をあなたは!!」 「だからな……」     
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