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「胴鎧、俺の気に入りがない!!」
「あんたが遅いからでしょ、ベオ!?」
「お前こそ……」
確かに、この同僚である彼女も未だに戦支度を整えていないということは、彼ベオと同じく寝坊組だ。
クゥ……
「くそ、まだ二日酔いが……!!」
響く鐘の音、そして外から聴こえてくる怒鳴り声やら悲鳴やらに。
ク、ウァ……
ベオの頭の中へ、軽くもやが差す。
「酒が、残ってやがる……」
「急いでね、ベオ!!」
「わかっているけど……!!」
ファフ……
「わかっているけど、何!?」
ややに荒れたその肌に、彼女は上下共の下着を穿いた後、その上から短衣を羽織り。
「そっちこそ急げよ!!」
「急いでいるわよ!!」
前後が割れた革鎧、胴部のみを保護する防具である胴鎧(クィラス)の中央に空いた穴へ、傭兵仲間の女性は自身の頭を差し入れ。
「何をベオ、あんたはボサッとしているのかという事!!」
「自分の胸に聞け!!」
服を着る要領で女性用革鎧を纏い、胸の辺りを僅かに身動ぎさせ、調える。
「お前の胸に、二つ付いている頭にな!!」
「聴いたけど、キツいって言ってる!!」
「そう、ですか!!」
「だから、何をあなたは!!」
「だからな……」
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