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カビの匂いが臭く、よりによって両脇の鎧留め部分である金具が破損している鎧だけが残されたのは、ベオに対する当て付けの部分もあるかもしれない。
「エルフ共に国を滅ぼされたのは、俺のせいじゃないっての……」
どうにか苦戦しながらも金具を無理に固定したベオ、村の端の広場へ向かおうと薄暗い小屋から駆け出た彼の瞳に、強い朝日の光が差し込む。
カン、ガアァン……!!
良く補修がされていない村の中央道でその脚を駆けさせるベオは、けたたましい鐘の音に急かされるようにブーツの裏から強く土を跳ねさせる。
「避難が完全ではないか……!!」
誘導に従い避難をする村人、そしてそ人々とは逆方向、ベオと同じ進路へ自警団の団員が火縄銃や弩で武装をしながら走る姿がベオの後方から見えた。
トゥ……!!
「急いで!!」
「カアチャン、どこ!?」
「先に待っているさ、ボウヤ!!」
足を転ばせた村の子供へ手を差し伸べながら、ベオはその子を近くにいた村人に預ける。
ガラ、ラッ……!!
「PMはどうした!?」
「上手くエンジンがかからねぇんだよ!!」
「こんな時に!!」
自警団の男達が台車に乗せた連射式のクロスボウ発射器を配備しながら怒鳴り合っている姿を横目に、ベオの視線の先に強く朝日に照らさせた広間、傭兵団が本領である「兵器」を駐留させてある集合場所がそのベオの目に見えた。
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