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あたしはまた、ひとりで海の岩に立っている気持ちになった。
「あれ」
女の人が急にあたしを見たので、あたしの足は1ミリくらい地面からういた。女の人は丈一さんに、
「こんなかわいいお嬢さんをかくして。さっさと紹介しなさいよ」
っていった。
丈一さんはきょろっと目を動かしたけど、かた車になった女の子にぱちぱち顔をたたかれたせいか、なにもいわなかった。
女の人はあたしにちゃんとおじぎをして、
「ひどい男だけど、見捨てないでやってね」
っていって笑った。
1ミリうかんだまんまあたしは口をぱくぱくして、なにかいわなきゃってあせった。でも声はまったく出ないで、おじぎもできなかった。
丈一さんは女の子をかたからとりはずして、女の人にわたそうとした。女の子は、
「やあだあ」
とかいってあばれたけど、とうとう女の人にわたされた。
丈一さんはだれの顔も見ないで、
「行くから」
っていって、歩きだした。
またまいごになったらいやなので、あたしは走って丈一さんのせ中をおいかけた。
後ろで女の人が、
「今度うちに遊びに来てー、お二人でー」
ってさけんだけど、丈一さんはふりかえらなかった。ずんずん歩いて、スーパーを出て、それでもずんずん歩きつづけた。すごい早足でどうしてもおいつけない。走るのが苦しくて、おなかの中がざわざわぐつぐつこわくて、あたしはまた泣きそうになった。
ことり荘の前まで来て、丈一さんはやっととまった。
あたしはほっとしたけど、息が切れて切れてひざに手をあててはあはあした。
丈一さんはぽつっと、
「親戚だ」
っていった。
まだ息が苦しくて、あたしがなんにもいえないでいると、
「つか、おまえにしたら、何の興味もないよな」
って、口のはしから笑うみたいに息を吐いた。
その日、丈一さんはそのまま帰った。
「えりす、心配ごとがあるんじゃないの」
急に聞かれて、あたしはびくっとした。
日よう日の夜で、丈一さんとあたしはふとんの中で足をからめてくっついていた。外ではしとしと冷たい雨がふっていて、ちょっとでもふとんからはみ出すとかぜをひいちゃいそうだ。
あたしはどうしようかまよったけど、思い切ってしょうじきにいった。
「あのね、明日また月よう日だなって思ったの」
「ああ、なるほど」
丈一さんの仕事には夜きんがあったり、土日も出る日があるのに、
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