それは当たり前じゃない

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(もったいねえ……。すまぬ食材たち……恨むならこのちいせえアレキサンダーの胃を恨んでくれ……) 心の中で、これから捨てられるであろう食材たちに泣いて謝っていると、食器を片付けていた佐々木原さんがとても嬉しそうな声で言った。 「坊ちゃん、今日はこんなに召し上がられて私、とても嬉しいですよ。これからもどうか沢山食べてくださいね」 こんなにって、普段食べてる量どんだけ少ないんだよ! パンなんて一個しかなくてそれすら食べられなかったというのに! アレキサンダーの体の具合を心配していると、片付けを終えた佐々木原さんがさらに言った。 「坊ちゃん、今日はとても調子がいいようですし、学校、行けるのではありませんか?」 「……!」 学校という言葉に、俺は目を輝かせた。 俺とアレキサンダーの体が入れ替わったというのなら、アレキサンダーは俺の体で学校に行くはず! そのときに話が出来れば……! アレキサンダーだって、俺と体が入れ替わって困ってるはずだ。話をする価値はある! そうと決まれば、返事は一つだった。 「行く!行きます!」 ***
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