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「やばいやばい!!遅刻する!!」
あの後急いで顔を洗い、パジャマ代わりのスウェットから制服に着替えると、食卓におかれた食パンをとって齧った。
「アンタ相変わらずよねえ~。もう高校生だってのに」
「うるさい!」
慌てて朝支度をする俺をニヤニヤと笑いながら眺めるのは俺の三つ上の姉、紗耶香。この春大学生になった。
「お前こそそんなのんびりしてていいのかよ!」
「あたしは今日講義午後からだもん。あー、大学生活ってらくち~ん」
「このクソアマ……」
「なんですって!」
コイツだってついこの間までは高校生で俺と同じく朝は遅刻すると騒いでいたくせに、ムカつく女だ。
「あーもー、ほんとかわいくない弟!あーあ、どっかの大人しくてお姉ちゃんを立ててくれる可愛い男の子と変わってくれないかなあ~」
「俺も胸絶壁のケチ女をどこかの胸でかくて優しいお姉さんと変えてえよ」
「誰が絶壁だって!!?」
姉と不毛な言い争いをしていたら、面倒くさそうな母さんの声に呼ばれた。
「智晴~。アンタ遅刻してもいいの~?」
「あっ」
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