はじめに

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はじめに

 選考委員様。  初めて応募させて頂きます、宇津木健太郎と申します。  本来、小説選考の公募でこうした物を応募作品として送るのは非常識であり、また小説賞を軽んじていると捉えられてしまう事、無理からぬ事と思います。  ご覧頂ければお分かりと思いますが、同封の原稿は、小説というよりは日記の体裁に近く、小説とは呼べないかもしれません。しかし一方で日々の記憶と思い出を綴るだけの記録としてはあまりにも空想的でありながら、とても生々しいのです。  果たしてこれを小説と呼んでいいか、私には判別しかねます。ですが、大学で私の数少ない友人だった彼女から送られたこの記録は、誰かに共有されねばならない。読了した後、私はそう直感いたしました。それ故に、小説賞を頂き衆目を集め、より多くの皆様に周知頂きたく。  ネットのSNSやブログ等では、求心性など絶対に得られません。権威ある御社の賞を受賞した上で周知しなければ、意味が無いのです。  この記録が何処まで真実で、何処からが彼女の妄想なのか。判別する手段がありません。何度もこの日記を書いた友人に連絡を試みていますが、一向に応答が無いのです。もしかしたら、全ては彼女の悪戯で、私は踊らされているだけなのかも知れません。  それでも、私はこの可能性としての真実を、もっと多くの人に知ってほしいと思っております。  尚、お送りした原稿ですが、元々友人から送られてきた文は誤字・脱字が多く、かなり慌てて書いた様子でした。特に後半は判別が難しい箇所も多かったのですが、なるべく拾える限りの文字を私が書き起こし、文章にして印刷いたしました。  ご確認をお願い致します。
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