565人が本棚に入れています
本棚に追加
/109ページ
黒いサングラス。映画俳優さながらの出で立ちは服を変えたって、キャラチェンジしたって、どっからどう見ても長谷部旬丸出し。サングラスに意味なしだ。
俺はめいっぱいに伸ばした腕をブンブンと大きく振って、まだダッシュ。先生は俺の姿を確認するとニヤリと微笑んだ。
助手席へ周り、ドアをスマートに開けたけど、そんなの関係ないね! 俺は一メートル先でおもいっきり地を蹴って先生へ飛び付いた。先生も両手を大きく広げ、ガシッと俺を受け止めるとそのまま二人でグルグル回る。
「わああっ」
自分から飛び付いたはいいけど、まさかの浮遊にビビってしまう。落っこちないように必死にしがみついた。
「ふはははっ」
先生が無邪気に声を上げて笑う。
「え! あれって、長谷部先生じゃない?」
正門のところで女子の騒ぎ出す声。先生は回転を止め、俺へ楽しそうに言った。
「逃げるぞ!」
「え! あ、うん!」
「乗れ!」
慌てて乗り込むと、先生も素早く運転席へ回って、着席。背後をミラーで確認するなり走り出す。車はそのままノンストップで三十分。着いたのは海の見える大きな公園の駐車場だった。
最初のコメントを投稿しよう!