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こう呼んでほしかったんでしょ? って思って言ったけど、旬くんは予想以上の笑顔になって、俺の頬を両手でムギュと挟むと百回くらいキスしてきた。
実際数えちゃいないけど、そのぐらいの勢いって事。
旬くんは黙ってたら完璧なビジュアルのお陰でクールでかっこいいキメキメメンだけど、無邪気な一面を持ってる。そこがまた可愛いったらない。
おっと、久しぶりに会えたからデレちゃった。
「リツのお母さんには俺からも電話したけど、リツからも電話してくれ」
「連絡したならいいじゃん」
「学校が終わったリツを迎えに行って、夕食を食べたら送り届けますと連絡はしてある。ちゃんとリツから電話を入れたほうが親御さんも安心だろうし」
「せん……旬くん、相変わらずだねぇ」
「ちゃんと九時までには送り届けるから、それも伝えてくれ」
「九時!? 早くない? 今時塾だってもっと遅くまでやってるよ」
「未成年なんだからケジメだ」
「そういうところも相変わらずだよね」
俺は渋々携帯を出して耳へ当てた。
『あ、母ちゃん? うん。先生と合流した。ウンウン。相変わらずイケメン。そう。んでね、今日なんだけど』
チラリと旬くんを見る。
『予定変更してお泊まりになった。そうそう、明日から休みだし。うん、久しぶりだしね。先生ちゃんと母ちゃんに言っとけってうるさいから。うん。はーい、明日送ってくれるって。じゃぁね~』
目を丸くする旬くんが口を開く前にとっとと電話を切った。
「おいっ!」
想定外だったのか、妙に焦ってる旬くん。俺も相変わらずだってこと。旬君に愛嬌たっぷりのニッコリを進呈した。
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