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そういえば、旬くんは惜しみなくスキンシップと愛情表現をくれるんだけど、モテモテ旬くんがなんで俺を選んだのかその具体的な理由を俺は知らない。前にも質問したけど、母ちゃんからのメールが入って結局聞く機会を逃しちゃったし。この際だから、そこのとこハッキリさせておこうか。
「んね、聞いていい?」
「ん?」
「なんで俺なの?」
旬くんは目をパチクリして恥ずかしそうな表情になった。
「それは……あれだよ。なんつーか……気づいたら?」
「いつ気付いたの?」
旬くんの目を覗き込んで、興味津々に聞いてみる。
「いつ……」
旬くんはちょっと考えて「あー」と黒目をクルリと上へ向けた。
「授業参観で使う紙芝居、手伝ってもらったろ?」
「うん。あの日?」
「みんなに手伝ってくれって声を掛けたって言ったけど、アレ嘘」
「へ?」
「二人で作業したいなって思ったから、リツにだけ声掛けた。リツと二人なら楽しいかなって」
自分から聞いといて、カーッと顔が熱くなった。
あの時からちゃんと両想いだったんだ。そう認識したら妙にくすぐったくなって、ついモゾモゾしちゃう。
旬くんが軽い口調で話し始めた。
「俺さ、こう見えて割と人見知りだし、新しい環境に慣れるのに時間もかかるし、極秘の任務なんて初めてなのに、上からは重圧掛けられて、マジで責任重大だったのね? もう胃がキリキリ痛くなる感じ?」
「うんうん」
意外だった旬くんの内面。
実は結構なビビり君なんだね。旬くんの可愛い項目に追記だなこりゃ。
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