Close to you

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「他の教員に怪しまれないように振舞わないといけない。ガチガチに緊張してちゃ怪しまれる。そう思えば思うほど、肩に力入っちゃって」 「そっかぁ。だよね」  旬くんって真面目さんだから余計プレッシャーだったんだろうな。 「そうだった。って昔を思い出した。教員の免許は取ってみたものの、こんな人見知りで緊張しいじゃ教師は無理だろって……警察か教師で悩んでいたけど、最終的に警察へ決めたんだ。俺」  心配性でお堅い真面目さん。そりゃ、俺の魅力にツイツイ我を忘れちゃったこともたたあったけど、それは結局俺のせいだしね。なんていい気になりながら旬くんをフォローした。 「旬くんらしいチョイスだね」  先生の旬くんを好きになったんだけど、刑事の旬くんももの凄くかっこよかった。どっちにしたって俺はメロリンだよ。呑気にそんな風に思っていたら、旬くんが話を続ける。 「だからやっぱり俺には教師無理だわって。潜入捜査なんて引き受けるんじゃなかったってすげぇ後悔してた……まぁ、どっちにしろ辞令おりたら逆らえないんだけど」 「うん」 「でも担任になったクラスにリツがいて……リツのお陰でクラスのみんなと段々打ち解けることが出来て……教師もいいなって初めて思えた」  そういえば、最初の頃はおとなしい印象だったっけ。ビジュアル面での黄色いざわつきはあったけど、先生自身のキャラはあんまり覚えてないな。  うーん……。確かに緊張してた。  俺も何度か先生いじりしたり、話しかけにいったりしてたんだけど、一か月くらい経った頃かな? 先生が人気者になったのって。その頃になれば、先生の周りは常にだれかいて、俺はあんまり近づけなくなってた。遠巻きに眺めるって感じ。
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