Close to you

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「教師なんだから贔屓なんてしちゃいけないって分かってても、ダントツのお気に入りだったんだ。その頃からかな。上からの重圧が気にならなくなった。俺がお前を守るんだって気持ちだったから」 「守る? 俺を?」 「教頭の行動に注意を払っていたから、教頭がリツを見る目つきがいやらしいことも気づいていた。もし本当に学校ぐるみの人身売買が行われているのなら、俺が守らなくっちゃって思ってたんだ」  だからついてたんだ。GPS。先生の代わりの尾行も。 「でもその感情も本当はダメなんだよ。分かってる? って葛藤してた。教師失格だなって……」  先生はフワッと笑って、俺をまたギュウギュウと抱き締めながら言った。 「もし教師の道を選んでいたら、リツを助けられなかったかもしれない。だから、これでいい。どの道俺にはリツが高校卒業するまで待てる自信ない」 「待たなくてもいい」  俺も先生に腕を回し言ったんだ。  だって俺も同じだもん。  ずっと近づきたいって思ってた。  そして今日、もっと距離を縮めるんだ。 完 
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