モヤモヤ

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「青葉、青葉」  ん……? 先生?  温かな手のひらが頭を「いい子いい子」と撫で頬を包む。重たい瞼を上げたら、黒いシルエット。でも直ぐに先生だとわかった。 「青葉、戸締り」 「うん……ごめ……」  黒い影が落ちてきて、そっと唇を押し付けられる。肉厚で優しい吸い付きはすごく気持ちいい。  ね、先生やっぱりずっとキスしていたいよ。  目を閉じ俺からも先生へキスを返した。唇が濡れる。先生はもてあそぶように俺の口内を探索する。それはとろけてしまいそうな感覚で、同時に身体の奥の方が熱く震えた。重なり交わり合う唇での呼吸はやっとで、息が上がって行く。呼吸がうまくできないせいか、先生のせいか頭がボーッとしてくる。  あぁ、すっごい……。 「もう手がベトベトになってる。待ち遠しかった? 昨日してあげたばかりなのに」  先生の低く穏やかな囁き声が耳の直ぐそばで聞こえ、熱い吐息が肌に当たる。沸き立つ興奮は何か言おうと口を開ける俺から声を奪っていく。漏れ出るのは「はぁ、はぁ」と熱く荒々しい息ばかり。煮立って、ドロドロに溶けていく。先生に溶かされる。  このまま消えて無くなってもいいや……。
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