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ピピピッピピピッピピピッ……。
朝、目覚ましを止め身体を起こした。眠気眼をグリグリと指で擦る。指をどけ目に映ったのは己の醜態。Tシャツ一枚にパンツなし。虚しい残骸があちらこちらに塊で転がってた。
昨夜の行いを思い出す。でも、その時の興奮は蘇らない。誰かを想ってスるのは初めてで、その時はひとつも感じることがなかった感情。でも今は、その寂しさだけを感じる。
結局戸締りなんかしてもいない。さんさんと朝日が部屋に差し込んでる。
「はぁ~あ……」
ティッシュ玉をゴミ箱へ投げ入れ、ベッド下に落ちてるパンツを履いてシャワーに向かった。ガシガシ髪を洗いながら考えるのは先生のことだけ。
だいたいさー、一番いい時じゃん。恋人になったばっかだもん。いっぱいイチャついてたし、もうどっぷり浸かってたいわけよ。気分は。欲しいに決まってるじゃん。常に一緒に居たいって思うのは仕方ないっしょ。自分が大人じゃないのが口惜しいよ全く。
シャワーを済ませ、ふてくされた気持ちを払うように制服のシャツをバサッと大きく振って、気分を切り替える。
でも、でもっ! だよ。学校に行けば会える。
俺はゆるゆる緩んでニヤける口をキュッとすぼめた。
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