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そう意気込んだのが最後。結局丸一日、先生に触れることはおろか、ふたりで話すこともなく終わってしまった。
あれじゃん? 先生と付き合ってるのって頼重なんじゃないの?
馬鹿馬鹿しくなってきて「ふんーっ!」と大きく鼻息を吹かし下駄箱で靴に履き替えていると、ポケットの中で携帯がブブブブッと振動した。メールの通知。先生からで、ハッ! と慌ててメールを開く。
『おつかれ。今日の放課後の予定は?』
職員室に戻ったタイミングで直ぐにメールを送ってきてる。今度はパーッと一気に気分はお花畑。俺は下駄箱にドンッともたれかかってソッコーで返事を打った。
『ないない。なーんもなし!』
しばらくしてまたメールがきた。
『そっか。それなら明るいうちに家に帰れよ』
「へ?」
……んだソレ。
お花畑は一気に突風で散ってしまった。
『先生はこれから職員会議があるから返事できないけど、家に着いたら教えてほしい』
茫然としてたらどんどんメールが送られてくる。
誰が教えるかよ。
一気にトーンガタ落ちの声が頭の中だけで響く。
『今日は一日、青葉のことばかり考えてた。終わったら会いにいくから』
もう何度もスカを食らってあんまり信用できなかった。第一、終わったらって家に来るっての? 用事もないのに? 担任が? 無理でしょ。
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