モヤモヤ

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 慎重に壁にくっつき、歩みを進める。玄関までたどり着き、ゆっくり鍵を開け、更にゆっくり扉を開けすり抜けるように外へ出た。今度は慎重に鍵を掛ける。  全てやり遂げると一気にドキドキとワクワクが湧き上がってくる。高まる気分で車に近づくと、先生は窓から顔を出し「後ろに乗って」と言った。前じゃないのか。とちょっと残念に思いながら後部座席に乗り込む。先生は直ぐに車を走らせ、近くの公園の駐車場に車を停めると、後部座席へ乗り込んできた。  言葉もなく抱き寄せられる。ギュッと両腕に抱きしめられ胸がキュウと鳴き声を上げた。先生からはほのかに汗と甘い匂い。  頑張って急いだのかな?  心地いい香りに鼻を寄せスリスリした。 「青葉、会いたかった」 「俺も」  あれだけブー垂れてたくせに、すんなり出ちゃった言葉。先生の大きな手が髪を撫でる。 「家に着いたらメールくれって言ったろ?」  先生の口調は優しかったけど、心配してたのが伝わってきた。 「ごめん、でも、おかげで会いに来てくれたし」  先生に腕を回しキュッとしがみ付いた。頼重みたいに。 「どっちにしろ会いにいくつもりだったよ」 「ほんとに?」 「ああ、こうやって抱きしめたくて仕方なかった」
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