モヤモヤ

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 先生はギュウギュウと俺を抱きしめ、頭にスリスリ頬を摺り寄せた。 「俺も。なのに他のヤツがくっついてたんだもん」 「ヤキモチ妬いてくれるのか? 嬉しいな」  先生はニコニコ天使のように無邪気に微笑んで、俺の口にチュッとキスした。 「俺が好きなのは青葉だけだぞ」 「うん」  じゃあ、くっつけるの止めてよ。って言えばいいのに、今の状態に大満足ですっかり頼重のことなんてどうでもよくなってる。 「親御さんにはなんて言って出てきた?」 「あー、こっそり出てきちゃった」 「そっか。あんまり長い時間はまずいし、送っていくよ。これ、コンビニ行ってきたフリ用のコーヒー牛乳」  先生に手渡されたコンビニの袋を開けてキョトンとしてると、先生が言った。 「もし、家入る時に親御さんに見つかったら言い訳に使って」  なるほど。先生準備いいー。  コンビニ袋はちゃんと近所のコンビニと同じ袋だった。  先生はもう一度、今度はちょっと長めのキスをして、俺の頭を撫でると運転席へ移動した。準備する先生を後ろから見つめたまま聞いてみた。 「ねぇ先生。学校でもこっそりでいいから会えないかなぁ」
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