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「リッちゃんちゃん見てよ! ゆっぴーの写真集出てんの! わー、すごいダイナマイト。ほら、これこのショットヤバくない?」
ささやんが鼻息を荒げながら写真集の表紙を指差す。
「それも買っちゃえば?」
「んーーー……だねっ! レジ行ってくるわ」
「はーい」
やっと用事を済ませ、本屋を出た。駐車場にある自動販売機の前で、さっきぶつかったサラリーマンが携帯を耳に当て、ドリンクを飲んでいるのが見えた。
家に着いたのが四時過ぎ。制服を着替え、宿題を済ませる。それから母ちゃんの用意した焼きそばを食べ、七時過ぎに家を出た。
「……?」
歩いているとなんとなく背後に人の気配を感じた。
振り向くと、どっかの作業服を着た男の人がいた。
電柱一本くらい離れた距離だから顔は見えない。眼鏡もかけていないし。でも、雰囲気というか、なんとなくさっきのスーツを着たサラリーマンと似てる気がする。
なんだろ。先生があんまり心配症だから、感染っちゃったのかな?
あまり気にしても、逆に「何見てるんだ」とか言われるかもしれない。俺は気になりつつも、後ろを見ずに足を早めた。塾へ無事到着。玄関扉の前で振り向いても男の姿は確認できなかった。
……やっぱり気のせいだったんだよ。
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