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「その後、調子どう? ちゃんと眠れてる?」
「すっかり健康体です。睡眠もバッチリ」
森先生は安心したように「うんうん」と頷いた。
「そぉ~。それは良かったわ。ところで青葉君、あなた今急いでる?」
ここに来て、二人目のお邪魔虫。重要イベントだけに、お邪魔虫のエンカウント率が高いな。
「え……あ、どうして?」
森先生は困ったように眉を下げた。
「車に運びたい荷物があるんだけど、ちょっと重くてね? できれば手伝って欲しいんだけど」
さり気なく右手を庇う仕草。森先生の手首には白い包帯が巻いてあった。なるほど、手伝ってくれそうな優しい生徒を捕まえようとキョロキョロしてたんだな。時間はたっぷりある。ちょっとぐらいなら全然余裕だ。
「荷物は多いんですか?」
「いいえ。一個だけ。ダンボールなの」
そう言って保健室のドアを開け、森先生が中へ俺を招き入れた。長机の上に『古シーツ、枕』と油性マジックで書いてあるダンボール箱。そんなに重くはなさそうだけど、わりと大きな箱だ。
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