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「これなんだけど。あ、鞄はここに置いておけばいいわ。邪魔になっちゃうから」
「じゃあ、持って行きますね。どの車です?」
鞄を机に置き、ダンボールを抱え上げる。森先生は「職員駐車場は裏からが近いから」と行って先に出て、俺が出てからドアを閉めると持っていた鍵でドアの施錠をした。
「こっちよ」
裏口は職員室や下駄箱とは逆方向にある体育館へ続くドア。緑色の外履き用のスリッパに履き替えて職員専用駐車場へ向かう。森先生の車は一番奥の端に停めてあった。ワゴンタイプの車だ。ピピッと鍵を開け、後部席のスライドドアを勢いよく開ける。
「シートの足元でいいわ。申し訳ないけど、一番奥へ置いてくれないかしら?」
「はい」
俺はシートの足元に荷物をおろし、ダンボール箱を両手で押した。ズズズッと反対側のドア付近まで移動させる。ヨシッ! と体を起こした瞬間、バチッと火花が散るような音。同時に腰の辺りに激痛が走った。
ゆらりと体が崩れ、何も思う間もなく思考が引き剥がれていくように遠くなる。
え……なにこれ……
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