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「……?」
真っ暗闇の中、頬を撫でられている感触。
先生?
力が抜けたような、半分夢の中のような感覚の中で目を開ける。
見たこともない古い部屋。オレンジ色の電球がユラユラ揺れている。天井に映るぼんやりした影もおなじように右へ左へ揺れる。
……ここ、どこ?
「はぁ~。たまらん。たまらん」
声の方へ顔を向けると、後頭部が禿げ上がった男が見えた。そいつが俺に背を向け、イソイソと服を脱いでいる。
なんだ……こいつ?
薄暗い部屋の窓から見える景色はまだうっすらと明るい青色。状況を把握しようと部屋を見回してみる。ボロボロで黄ばんだカーテン。本棚と砂壁。畳。薄っぺらい布団。誰かの部屋。知らない家だ。
身体を起こそうとして気が付いた。手足が固まって動かない。両手は頭上で縛られ、両足は足首がきちんとくっついた状態で固定されてる。妙に息苦しいと思ったら口が開かない。粘着テープの匂いが鼻についた。
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