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「い、いつもはねぇ。指を咥えて渡すんだよ? なにしろバージンが大好きらしくてね? ヒィヒィ泣かせたいらしい。だから、先生はなにもできない。まったくアレはきついよねぇ……」
ブツブツブツブツ独り言のように話す。俺はもうわけがわからなくて、硬直したまま教頭の手元を見ていた。シャツのボタンが全部外れると、今度はベルトに手を掛ける。教頭のおぼつかない手がカチャカチャ音をたてながら外し、ズボンを下ろしていく。
ひっ!
簡単に脱がされてなるものかと膝を引上げ曲げる。
「だからね? 今日は自分のために君を運んだんだよ? 自分へのご褒美だ。大丈夫。ちゃんと青葉君も気持ちよくさせてあげるからね。先生がすっかり男の良さを教え込んであげるよ。それから売り渡された方が、青葉君だって幸せだろ?」
売り……。
「いやいや、やっぱり青葉君は渡さないでおこう。強欲連中に渡すのはちゃらんぽらんな生徒で十分だ。青葉君みたいな知的で意思のある子をくれてやるのはもったいない。君は私にこそ相応しい。先生の専属にしてあげるね。ゆっくりと仕込んであげるからね。ひひひ……」
こ、コイツ、狂ってる。今まで行方不明になった生徒ってのも全員……。
現実に日本であるわけがない『人身売買』なんて言葉が頭に浮かぶ。
ヤバイヤバイ! マジでやばい!
俺は蹴りつけてやろうとくっつけられたままの足をグイッと持ち上げ、腹筋を使い教頭に向かって蹴りつけた。「おっと」と後ろへ下がる教頭。
「そんな抵抗も興奮するねぇ……でも、面倒だから打っちゃおうかな」
「ンーっ! んんううっ! ううっ! んんーー!」
思いっきり叫んでるのに、くぐもって小さな音しか出せない。もどかしさと苛立ちが込み上げる。教頭は立ち上がり、本棚から細長いガラスの棒を取った。それは細い小さな注射器のようだった。
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