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先生が手首のガムテープを剥がす。解放された両手を大きく広げ、俺は先生におもいっきりしがみ付いた。先生の存在を確かめたくて、これでもかっていうほどギュウギュウ抱きしめる。
しばらくして、壊れたドアの破片を踏む音がした。外で待機していたんだろう。スーツ眼鏡男が「もういいか?」と声を掛けてくる。
このままずっと抱き合っていられると思った。思ってたけど、そうはさせてもらえないみたいだ。
俺たちは顔を見合わせ、残念がってる自分達にクスクスと肩を揺らし笑った。
さっきまで凄く怖かったのに、嘘みたい。
こうして俺は、間一髪のところで無事に救出された。
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