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入学式ということもあり、僕たちは教室に戻ると短いホームルームの後、担任に半日での帰宅を命じられた。明日から本格的な高校生活がスタートするというわけだ。
これから三年間、僕はこの学び舎で勉学に励み、学友たちと苦楽を共にして青春というものを謳歌するのだろう。
そうして校門から校舎を仰ぎ、微かな希望に思いを馳せているところだった。
――突然、視界が暗転した。ああ……やっぱりこれは夢だったのだろうか。
いや、違う。布だ。僕は今、何か布のようなものを頭から被せられて視界を塞がれてしまっている。
そしてなんだか、ついこの間まで嗅いでいたような、妙に懐かしい香りがするのはなぜだろう。
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