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3月31日。
オリエンテーションも終わって一息つく。
時間を確認するともう16時近かった。
「(買い物してから帰ろ)」
明日の入学式に備えて早めに寝ないと。
今日の晩ご飯は何にしよう。
疲れたからお惣菜に頼ろうか。
ご飯は炊いてあるし。
そんな事を考えながら駅に向かう。
「(……着信?)」
肩にかけていたバッグから振動が伝わってきて携帯を取り出す。
表示された名前を見て慌てて出た。
「は、はいっ!!」
「有村?今電話して平気か?」
耳元に響く声に、かぁっと体温が上がる。
「だ、大丈夫です!お久しぶりです!!」
電話の向こうで先生が笑ったのが分かった。
「……久し振り。今外にいるのか?」
「大学です。オリエンテーションが終わって帰る所なんです」
そっか、もう始まってんだな、とどこか懐かしむ声。
「有村って家はどこだっけ」
住所を伝えると、少し間を置いてから先生が口を開く。
「20分くらいかかるけど、そこで待っていられるか?」
「え?あ、はい。でもどうして……」
「言っただろ、迎えに行くって」
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