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 目が覚めて、窓を開けようとする。でも、カーテンを開けた時点で気が付いた。  海の中だった。小魚、深海魚、軟体生物、肉食の魚たちもいる。海の生き物が、街の間を潜り抜けて遊んでいたり泳いでいたり、空だった空間を大きなクジラが横切った。  青々とした光景に、神秘的なこの状況を、ただ茫然と眺めている自分がいる。  はっとして、屋上へ向かった。  ここは高層マンション。高い場所へ行けば、海から出られるかもしれない。その証拠に、先ほど窓から見たときに、上の方にボートか船かの影が見えた。きっとどこかにあるはずだ。  最上階について、窓を見る。  「あれ?」  青々とした光景と、魚が泳いでいる。東京の街並みは先ほどと全く変わらず、同じ場所を魚が泳いでいる。  「これ、壁紙じゃ、ないよね?」  魚はリアルに動いている。しかし同じ場所をループしているように見えるが、窓ぎりぎりを泳ぐクジラが見えた。こちら側にはおなか部分が見えた。  「どうなってるの?」  最上階に来たというのに、どういうことだろう。これよりも、もっと高い場所ということだろうか。しかしこの街にこれより高い場所はないはずだった。  「じゃあ、出ればいいのか」  屋上に出るための扉を開けた。目の前には空が広がっている。私は一歩を踏み出した。  そして、魚に乗って、青々とした情景に映り込んだ。この青に吸い込まれるように、私は消えた。先ほど見たボートは、きっと、上の世界なのだろう。
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