最終章

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狭い部屋の中 二人で過ごした匂い 喧嘩も仲直りもいっぱいしたね ありがとう ごめんなさい もいっぱい言った 幸せだった 本当に でもね、もう、終わりにしよう 永遠なんてないことに気が付いた だから、幸せのまま逝きたいの。 お気に入りの音楽をかけて ハッピーエンドの無声映画。 二人で暖かい毛布にくるまって。 赤いワインと白いワインを置きましょう その中に入っている幸せの薬 これを飲んだら永遠に幸せになれるから そんなことを言いながら、二人で映画を見ていたの 楽しかったね 楽しかったね 思い残すことは何もないね 何もないね いい人生だったね いい人生だった 同時に逝こう 同時に逝こうね 指を絡ませて 向こうで会おうと約束した。 それが最期のあなたの言葉 ワインは舌で楽しむものだって笑うあなたが赤ワインを一気に呷る それを見て、豪快ねと笑う私 でも、一気に苦しむあなたを見て ああ、正直怖くなったの でもね、あなたをもう一人ぼっちにはさせないわ 私も近くにいてあげなきゃ だって、だって。 私が一人ぼっちが嫌なんだもん 白いワインを口につけて。 喉を通る感覚 味なんて解らなかった。 そのうち、苦しくなってきて あたまがぼんやりしてきて もうなにもかんがえらなくなって ふと、さいごにおもったのは あのえいがのつづき ああ、さいご、どんなふうに はっぴーえんどになったんだろう?
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