最終章

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イラついた。 何がイラついてるのかわからない。 負の感情しか起こらない。 些細なことでイラついて あなたは困ったように怒ってる。 やめてしまおうか? 全て、全て そうすれば、家に引き込もれるから。 ぜーんぶ、イヤになるんだ。 電車のホーム。 目の前に立つのは大きいお腹の綺麗な妊婦さん。 ストラップのついてない白い携帯。 耳に当てて幸せそう。 旦那さんとお電話中? 羨ましいな、羨ましい。 私は今日も嫌になるくらいに不幸なのに。 目の前で笑う彼女の声。 不快感 電車が来る。 アナウンス 手が滑ったふりをして。 彼女の身体を前に突き飛ばす。 彼女は悲鳴も上げすに電車に轢かれる 周りからは絶叫。 一瞬で血のシャワーを浴びて。 目の前に落ちてる携帯は見るも無残に壊れてる それがとても、おかしくて笑ってしまうのを堪えるのが大変だった。 その夜、上機嫌な私を見てあなたは嬉しそうだった。 今日はどうしたの? あなたのそんな質問に笑いを堪えきれなくて。 ねぇ、たとえば。 このおなかに あなたとの子供が宿ってるって言ったらどうする? 喜んでくれるという予想。 冗談でごめんねと茶目っ気ある笑いを見せようとしたのに。 あなたは、青ざめた顔。 あれ? おかしいな? なんで、そんな顔するの? ねぇ、なんで? ごちそうさま。 一気に食欲を失くすあなたを見てたら 愛おしさより憎しみが湧いてきた。 嘘だよ あからさまにホッとするあなたの顔。 ああ、憎らしい。 あの女のように突き飛ばすだけじゃ足りないわ。 食事で使ったナイフ。 あなたの、背中に突き刺した。 呻くあなたを見て。 何も感じない私。 今日はあなたが悪いのよ? だからね、永遠におやすみなさい。 良い夢を
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