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 三人が手に入れた故人の情報は、ダメ母の借金返済で、鬱病になり、職を解かれたこと。  再履習の英語の講師にまでおちぶれたため、少ない生徒が全員欠席といった仕事のやりがいのなさにも打ちのめされていたこと。  そして、化石に限らず、考古学好きで、SNSつながりでは、東日本大震災であらわれた有望な断層を調査するとさそわれ、元生徒と友人らと発掘に行くというその日に、亡くなったことがわかった。  一方、稜弥の方は、美鈴に、はた迷惑な事業展開の話に付き合わされていた。  「これは、本当の仏壇。他の宗教よりも、お祈りすると叶うのよ」  「立派な仏壇ですね」  「今度、学会にも案内するわよ。真光(まひかり)や妙心寺や、キリスト教のエホバの証人なんかより、ずっとためになるわ。本当に願いも叶うのよ」  「はあ」  稜弥は呆気にとられる。  「和史をなくす少し前に、わたし、ガーデニングを始めて、ベランダに。こっちよ」  ベランダにはプランターが、たったひとつだけあった。  「パセリよ。あの浄水器のお水で育てているの。一株だけ元気がなくなっているわねえ」  稜弥は、その一株に注目する。よく見ると、株ごと引きぬかれたあとがある。  「お水を汲んでくるわ」  美鈴がその場を離れたのを横目に、稜弥は株を引いてみる。株の根の下に携帯電話が埋まっていた。  古いタイプのドコモのスマホ、電池のところに固くロックするところがある。防水タイプだ。  何も考えず、稜弥はポケットに収めた。  ほか、ベランダには、庭がないのに高枝切りバサミの箱。  美鈴にはおそらく車がないのに、車を洗うための器具があった。  すべてろくでもない外国製。  ベランダに戻ってきた美鈴が、水をパセリにやると、リビングに三人が戻ってきた。  稜弥は、コマドリのように、せわしなく(さえず)っては働く、美鈴から解放された。
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