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 爆発音に耳が慣れたころに、今度は粉塵がひどくひろがり四人の視界を奪う。  「ジェラルド、派手だが、あまり効いてない」  スタイロンが、咳き込みながら言う。  「そうですよ。ジェラルドさん。これはやりすぎじゃ……」  美景が、目の前の粉塵を手で払った。  粉塵の収まらぬなか、歯と骨だけの巨大な恐竜が素早く突進してきた。  「危ないっ! 美景さんっ!」   とっさに稜弥が飛び出し、大腿骨付近に触れた。  化石の骨が黒く染まったかと思うと真っ赤に燃焼して自然発火から爆発する。巨大な恐竜は脚を失って頭から転倒するとばらばらに崩れて岩石になる。  燃焼ブーストの延長の力だった。  しかし、この攻撃も粉塵がひどい。  「稜弥、きみも派手だが、あまり効いてないようだ」  スタイロンが言う。  スタイロンはバッグを開け、板の紐を慎重に解く。  オペラグラスを当て、板を開いた。板は合わせ鏡になっていて、オペラグラスのレンズには硬いもので刻まれた魔法陣が描かれていた。  「いでよ。そして、放て」  二匹の悪魔そのものが現れる。  燃える炎のように揺らめき立つ姿は、人間などよりも大きく恐竜に優るとも劣らない。王冠をいだき、六枚のコウモリを思わせる羽根が開いた。  蛇の尻尾が恐竜たちを威嚇するように、大きく口を開いて牙をむき出しにする。  悪魔が、青白い炎の燃え盛る火矢を立て続けざまに放つ。  巨大な骨格の隙間に食い込んで、いくつかは刺さる。  「あ~っ、スキマのある骨の化け物に弓矢や刃物は、効果が薄いんじゃないかな」  稜弥が、スタイロンに遠慮がちに言った。
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