5人が本棚に入れています
本棚に追加
霊魔は、慟哭するかのように吠え、もがき苦しみはじめた。
紙テープをばたばたさせていたが、力を失っていく。
目玉が飛び出して垂れて落ち、全体が融ける蝋細工のようにドロドロになっていく。
そして、最後には崩れはじめた。
一部がたれ落ち、支えを失っていく。
やがて、あとかたもなく消えた。
「やったのか?」
スタイロンが喜ぶ。
ジェラルドは、ずいっとハーレーと機関銃をしまった。
「どんな手を使った?」
「埋められていたスマホで、僕が持っていた」
稜弥は、美景に聞く。
「どんな意味があったんだろう? 嶋原さん」
美景は黙ったままだった。
「まあ、あの辺をまさぐってみようじゃないか。なあ」と、ジェラルドは、霊魔が崩れさった場所に、親指を向ける。
そこには、六角柱のクリスタルの結晶が、大きいものからごく小さいものまで、五つほどあった。地面から生えてきたかのようだった。
スタイロンがルーペを使って、結晶を上に、地面に光を投影して調べる。
「間違いない、ウィッチ・ティア・ドロップだ。どうやら、これに詰まっているオーバー・ウィッチ・クラフトは、いわば物質透過術のようなものだ」
「数は分け合えるほどあるな」
ジェラルドも、ニヤつく。
稜弥と美景にもクリスタルが渡された。
「ウィッチ・ティア・ドロップは、だいたい、こんな感じのものだ。初めて見るだろう。霊魔を滅ぼすのが、うまくできれば、かなりの割合で残っている」スタイロンも、ニヤリとする。
「呈露結界が崩壊し始めるぞ」
最初のコメントを投稿しよう!