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 霊魔は、慟哭するかのように吠え、もがき苦しみはじめた。  紙テープをばたばたさせていたが、力を失っていく。  目玉が飛び出して垂れて落ち、全体が融ける蝋細工のようにドロドロになっていく。  そして、最後には崩れはじめた。  一部がたれ落ち、支えを失っていく。  やがて、あとかたもなく消えた。  「やったのか?」  スタイロンが喜ぶ。  ジェラルドは、ずいっとハーレーと機関銃をしまった。  「どんな手を使った?」  「埋められていたスマホで、僕が持っていた」  稜弥は、美景に聞く。  「どんな意味があったんだろう? 嶋原さん」  美景は黙ったままだった。  「まあ、あの辺をまさぐってみようじゃないか。なあ」と、ジェラルドは、霊魔が崩れさった場所に、親指を向ける。  そこには、六角柱のクリスタルの結晶が、大きいものからごく小さいものまで、五つほどあった。地面から生えてきたかのようだった。  スタイロンがルーペを使って、結晶を上に、地面に光を投影して調べる。  「間違いない、ウィッチ・ティア・ドロップだ。どうやら、これに詰まっているオーバー・ウィッチ・クラフトは、いわば物質透過術のようなものだ」  「数は分け合えるほどあるな」  ジェラルドも、ニヤつく。  稜弥と美景にもクリスタルが渡された。  「ウィッチ・ティア・ドロップは、だいたい、こんな感じのものだ。初めて見るだろう。霊魔を滅ぼすのが、うまくできれば、かなりの割合で残っている」スタイロンも、ニヤリとする。  「呈露結界が崩壊し始めるぞ」
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