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7
荒川の河川敷の夕日を受けて、四人は芝生にいた。
川面をわたる風が心地よい。
カモメが過ぎ去り、白い鳩が、舞い降りてきた。スズメも一緒だ。
美景は言う。
「先生の心は、化石発掘ばかりではなかったの。失った仕事やあたたかい家庭といった過去への憧れ。実は、あのスマホは、養育費を途中で支払うのをやめた先生の父親が、自分のところに来い、と渡したものだったのよ」
稜弥は言う。
「そのスマホをベランダのパセリのプランターに埋めていたんだなあ。あんなところに。もしかしたら、悲しみの象徴かな」
「そうかもな」ジェラルドは言う。「化石収集家が、自分で過去を化石にしようとした」
「あの母親のところに、使い魔の六匹を忘れてきた」
スタイロンが、つぶやく。
「いいんじゃないか?」と、ジェラルドが、笑い噴き出す。「どう思う? 稜弥?」
「もう一回あそこに行くなら、怒りますよ」と稜弥。
「稜弥くん!」と美景が叱る。
「いや、正直に言って、マルチ・レベルなんとかとか、新興宗教には、ぜんぜん興味がなくってさあ。ちんぷんかんぷん。美景さん」
ジェラルドとスタイロンは、ふうと、ため息をついて、立ち上がった。
「戦士団を一度組んだ者同士は、フルネームと所属を明らかにしておくことだ」
ジェラルドが言う。
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