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野球部に入ったら一度でもいいからテレビでいつも見ていた甲子園球場を自分の目で見てみたい。
「そうだ。今日、部活の終わりに本屋に寄ろうよ。私、欲しいマンガがあるんだ!」
真莉愛が言う。
「それって、今、週刊漫画雑誌で人気のバレーマンガの事?」
「そう。どうせ、部活が終わる時間はみんな一緒なんだしさ。いいでしょ?」
「まあ、いいんじゃない? 丁度、私も欲しい本があったし……」
翔子が思い出したかのようにそう言うと笑った。
私、先月使いすぎて今月ピンチ何だっけ……? ああ、でもほしいのがあるんだよね。
先月は春休みでもあり、いろんなところに旅行に行くとそこでたくさんお土産を買いすぎていた。だから、今月は五千円のみでとても厳しい状況である。
「でも、本当にいいの? ここの野球部はものすごく弱小だって先輩たちから聞いたことがあるよ」
そう言って、翔子は里奈を心配そうに見つめた。
「うん。大丈夫。それを分かっているからやるんだよ!」
駐輪場に自転車を置き、かごのかばんを握ると、三人は靴箱に靴を置きスリッパに履き替えた。
「何を?」
「甲子園だよ! 一度は行ってみたいじゃん! そう思わない?」
その時、目を輝かせながら本気でそう思っている里奈を二人はもう、止めもしなかった。本気で言っている人間にそこまで言われると言葉が見つからない。
里奈。あんたの三年間。棒に振らないことを祈るよ!
二人は同じ思いで心の中で彼女の事を心配した。
一年三組の教室に入ると、ほとんどの新入生が集まっていた。彼らは今日からクラスメイトになる人ばかりである。里奈達三人も同じように三組に名前がある。一年は一組から五組までが普通科となっている。そして、六組だけがフロンティア科という英語及び学力的に向上させるクラスを加えると合わせて六つも教室が存在する。一年は合計二百十六人もいるのだ。
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