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Prologue:夜の街、BARにて…
「今日は『XYZ』だ」
右目に眼帯をし、耳に碧色のピアスをした蒼い瞳のバーテンダーは、慣れた手付きでグラスに液体を注ぐと男の前にコースターと一緒に白いカクテルを差し出した。
「ラムベースか…何処かの伝言板に依頼でもあったか?」
「依頼はなかったな…でも別の伝言ならある。「蠍は毒で消された」」
「「蠍が毒で消された」?あの「蠍」がか…」
「他にもあった。「女王は騎士に裏切られて死んだ」」
シェーカーを洗いながら会話をするバーテンダーは
目の前にあるグラスを取ると、氷とウォッカ、トマトジュースを入れ、セロリのスティックでステアすると粗挽きの黒胡椒を一撮み入れる。
「たった1ヶ月の間にそんな事が…だからお前はここに来なかったのか」
カウンターを挟んで反対側には眼鏡をかけた男が1人、紫煙を燻らせながらカクテルを受け取ると、一口飲んで呟く。
「3週間も昏睡状態に陥るとは思わなかったさ」
「あいつから連絡があった時は驚いたぞ。こっちでも「あの『武器商人』が誰かにやられた」と噂になったからな…それにしてもその眼帯、どうにかならないのか?」
「今は外せって事か?眼帯を外した姿はあまり見せるモノじゃないんだけど…」
男に言われてバーテンダーは眼帯を外す。隠されていた右目は紅い瞳をしていた。
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