Prologue:夜の街、BARにて…

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あたしは、ポケットから小瓶を取り出し見つめる。薬は見事に効いている。これなら朝までは起きないだろう。 ゆっくりと立ち上がるとBARの入り口に鍵をかけ、カクテルグラスを片付け、新しいグラスにバーボンを1/3入れて夜叉の傍におく。 手袋をはめ、バックヤードに入ると裏口の鍵も閉め、監視カメラに細工をする。金庫の前に来ると、ゆっくりと鍵を外し中を見る。お金はもちろんあるが、金庫の奥に紙袋に包まれたトカレフを5つ見つけた。 「5つも何に使うんだ?ここって2人だけだろ…」 他にも見ていると1枚の写真が出てきた。夜叉とウルフ、そして他に2人が写っている。 「これは…『Master』に報告しないと」 そう言うと小型のカメラを仕込んだ指輪で写真を撮り、何事もなかったかのように総てを元に戻す。 あたしがいた痕跡が残らないようにしてから裏口の鍵を開け、バックヤードから出てBARの鍵を開ける。 カウンターからグラスを取り、奥にしまってあった「ロンリコ」を1/3入れて夜叉の隣に座わる。 自分のジャケットを寝ている夜叉に掛けると、寝顔を見ながら酒を一口飲んだ。アルコールの熱さが喉を伝って胃に落ちる… 「『Aqua Virgo』か。また厄介な奴とぶつかりやがって…」 そう呟くと、ため息を1つついた。
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