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ついでだから泰生の字もどのように書くのか教えて貰った。
「泰平に生きる、で泰生ね……よし、登録。んじゃ、空メール送るよ」
「―――あ、来ました。高森杏菜さん、ですね」
杏菜の送ったメールに書いてあった名前を、泰生が読み上げた。
「うん、そう。杏菜って呼んでくれていいよ」
杏菜が言うと、泰生は困惑したように顔を赤くしてしまった。凱成は男子校だから、女の子を下の名前を呼び捨てにするのは初めてだったのかもしれない。
「じ、じゃあ、僕も泰生で」
「泰生……? うーん、天下の凱成高校に通っているような超カシコイ子を呼び捨てってなんか違うなぁ。どっちかと言えば、その敬語もいらないくらいだし」
「でも、どこの高校に行っているかは、呼び方に関係無いですよ。僕の方が年下だし」
「年はほとんど変わらないよ。君は何年生?」
「高3です」
「じゃあ18歳でしょ。あたしは19だもん。まぁ、今日からぴったり3ヶ月後には20歳になるけど」
「どっちにしても、年上には変わりないんで」
泰生は譲らない。おとなしい子なのかと思いきや、自分の意見はしっかり主張する頑固さが垣間見えた。
杏菜は軽く肩をすくめ、目の前の詰襟少年を一瞥した。
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