ホワイトジョーク

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 夜。街の高台にあるゴミ捨て場に、なぜかランプが捨ててあった。  会社からの帰宅中、男はそれを見つけ、仕事の鬱憤を晴らすように思いっきり蹴飛ばした。  ランプはガラガラと音を立てて道に転がり、そこから魔人が現れたのだ。 「なぜ、そんなことを願うのだ?」ターバンを被った半裸の魔人は言った。 「見てみろ」  高台から見える住宅地の夜景。男はその家々の明かりを指差した。 「人間が多すぎるんだよ。しかもこの世界に必要ない奴等ばかりだ。そういうのをサッパリ消し去ってくれ」  男は元々人間嫌いだった。  なのに仕事は営業職。嫌でも人にたくさん会う。  職場の人間関係も面倒だ。  たまの休みに出かけても、どこに行っても人人人……。いい加減、ウンザリしていた。  そんな気持ちが酒の力で思わず出た。 「そうか。……ならば明日一日だけ時間をもらおう」魔人は言った。
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