わりに合わない第二の依頼

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 荷造りをしていると大勢の村人が顔を見せに来た。皆、口々に出て行かないでくれと言ってくれる。僕もできるならそうしたかった。  でも僕は勇者だ。  この世界に同じ肩書の持ち主が何人いようとも、人々に安心して生活してもらうために勇者になったのだ。決して富や名声のために勇者になった訳ではないのだ。  僕は背中の剣を確かめると、荷物を肩にかけ家を出る。村の入り口では村長と薬師のおじいちゃん、村人たち、そしてギルドの少女が待っていた。 「行ってしまうとは、なんと残念な」 「すいません。録に恩返しもできないで」  僕は目をそらす。 「恩返しだなんてそんな、気にしなさんな。来てくれただけでも感謝しておるよ」  彼は僕の手を取り、石のようなものを握らせた。 「このお守りを持っていきなさい。わが村特産の魔蒼石だよ」  捻じれた紐のような金属細工に、青色の透き通った石が込められている。それは強靭な革紐が通されており、首から下げるとちょうど胸元で輝いていた。ペンダントの輝きがぼやけてきた。 「ありがとうございます、村長」 「いいんだよ。ここを第二の故郷だと思って、また、いつでも遊びに来なさい。ね」  返事がうまくできなかった。人差し指で目をこすり、鼻をすする。そして一度強く目を閉じると、しっかりと見開いた。 「ちょっと街を、守りに行ってきます!」  彼らに背を向けると、もう一度だけ目をこする。そして町のほうを見据えると、ギルドの少女と共に村を出た。
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