どっちが王子?

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 それに灯台男みたいに嘘をついたりしない。  これで陸の王子を見つけたも同然だ。  お巡りは哀れんだ目をしてため息をつくとまたパトカーを走らせた。 「橘さんとこ着いたら病院に連れて行ってもらいなよ」  それだけ言うとお巡りはそれから琉海が何を聞いても返事をしてくれなくなった。  ちぇっ。なんだよ、なんだよ。まぁ、いいや。  あの優しい男の人のとこで聞けばいいし。  それに、もしかしたらもしかして、あの男の人が陸の王子かも知れないではないか。  海の目の前にある大きな家の前でパトカーは止まった。   大きな扉を開けたのはこちらも割腹のいい女性だった。  お巡りの説明を聞きながら彼女は琉海をまじまじと見た。 「あれぇ、大冴(たいが)さんの……。わたしは昨日からここで働き始めたもんでなんも知らんけど、とにかくそちらの方をお預かりしまっしょ。大冴さんは今出かけとっておらんけど」  お巡りはほっとしたように深くお辞儀をする。  でっぷりとしたお腹が苦しそうだ。  琉海を女性に引き渡すとお巡りはそそくさとパトカーに戻り行ってしまった。  女性は琉海を広い居間に通すといきなり身支度をし始めた。 「来てもらって早々悪いけどよ。わたしもう帰る時間なんよ。掃除も洗濯も全部すんだし。だけんここで待っとって。大冴さんすぐ戻ると思うけん」  そう言うと女性はさっさと帰ってしまった。  家には他に誰もいないようだった。  1人取り残された琉海は家の中を興味津々に見て回る。  知らないものだらけだった。  姉たちからいろいろと習ったが情報が古すぎるのだ。  あれこれいじっているといきなり大きな黒いものがぱっと明るくなり音を立て始めた。  見ると中で人間たちが動き回っている。  琉海は食い入るようにしてそれを見た。  テレビだった。
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