第二章

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 みんな親し気に話しかけてきても、何か嫌なことがあると『悪神』のせいにして呪いの手紙を書く。そしてあたしの下駄箱かうちの神社へ。悪意ばかり受け取らされ、いつからか人とあまり関わりたくなくなってた。  だから嬉しい変貌だけど、ヒューヒューはやし立てるのはやめろ。 「やってらんない。あたし厨房入る。裏方がいい」 「えー、加賀地くん喜んでるじゃん。見せてあげなよ」  裏に逃げこもうとするも、数人がかりで押し出された。ひどい。 「にしても、加賀治くん接客上手いねぇ。何事もソツがないし」 「いいじゃん、パーフェクトな旦那様。私もあんな人と結婚した~い」  熨斗つけて差し上げよう。人じゃないよ。  今もたくさんの女の子に囲まれてるし、一人くらいもらってくれないかな。ラインのID教えてだの、一緒に写真撮ってだの、告白までされてる。  と思ったら、一人の男性が九郎の肩を親し気にたたいた。 「悪いね~、お嬢ちゃんたち。こいつにはもうお嫁さんいるんだ」  現れたのは、黒髪黒目のスポーツマン風イケメン。  どこにでもはいなさそうな、髪が買った美貌。  人間じゃない。  本来の姿も人型のようで、視えはしないけど本能的に分かる。隠してても存在感が別格くすぎ。たぶん、かなり高位の神様。 「―――スサノオ」  九郎が驚くでもなく、男性の名を口にした。  スサノオ? ……って、ええええええ?! 須佐之男命?!  九郎はエプロンをはずし、その辺りに置いた。 「悪い、ちょっと休憩していいか?」 「どうぞどうぞー。なら加賀地、このプラカード持ってってくれ。歩きついでに宣伝よろしくー」  九郎は律儀にカード持って出て行った。男性も続くと思いきや、あたしの腕をつかんだ。 「トーコちゃんもおいで」 「え? 何であたしの名前」 「おいっ、東子に触るな!」  一瞬で戻ってきた九郎が男性をひっぺがし、あたしを後ろに隠した。 「おーやおや。ま、いい傾向だ。それよりその子も連れて来いよ」 「…………」  ため息ついた九郎に促されるまま、あたしも屋上へ行った。今日静かなところはここしかない。鍵は男性が指鳴らしただけで開いた。 「トーコちゃんは初めましてだな。オレ様はスサノオ。名前くらいは知ってるだろ?」 「知ってるも何も、超有名な神様じゃないですか!」  八岐大蛇退治した神様だ。道理でその筋肉。 「何しに来た」
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