本編

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目の前を、大きな荷物を持った男子が通り過ぎる。 そして転んだ。私は反射的に荷物を拾う。 「何してんの、あんた」  目の前には地味な黒髪の男子。  見た目通りさえないわけだ。 「ありがとうございます」 「ふんっ」 私は荷物を全部まとめて、男子に渡した。 「姫奈ちゃんおはよ……」 「うっさい、恭平話しかけないで。ボッチのあんたに声かけられるの嫌なんだけど」 「だって幼馴染だし……」 分厚い眼鏡の眉毛の太い恭平と、名前通り華やかな巻き髪と大きな目の私。 どこも釣り合わないのに、恭平はいつだって挨拶してくる。 私たちは幼馴染の腐れ縁で、友達じゃないのに。 「おはよう華憐、レイナ」
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