5人が本棚に入れています
本棚に追加
目の前を、大きな荷物を持った男子が通り過ぎる。
そして転んだ。私は反射的に荷物を拾う。
「何してんの、あんた」
目の前には地味な黒髪の男子。
見た目通りさえないわけだ。
「ありがとうございます」
「ふんっ」
私は荷物を全部まとめて、男子に渡した。
「姫奈ちゃんおはよ……」
「うっさい、恭平話しかけないで。ボッチのあんたに声かけられるの嫌なんだけど」
「だって幼馴染だし……」
分厚い眼鏡の眉毛の太い恭平と、名前通り華やかな巻き髪と大きな目の私。
どこも釣り合わないのに、恭平はいつだって挨拶してくる。
私たちは幼馴染の腐れ縁で、友達じゃないのに。
「おはよう華憐、レイナ」
最初のコメントを投稿しよう!