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「姫奈、はよ」
「今日もイケてるね」
「お前もな」
「……当たり前じゃん」
こんな会話はいつものこと。地味グループが白けた目で見るのも、いつものこと。
どうせ、羨ましいんじゃないの? さえない自分にはこんな彼氏、出来るはずないもんね?
あははは。
「ねぇ、レイナスマホで何してんの?」
長い金髪を持つ、長身美人のレイナは自由。
今も朝から眉毛のティントを乾かしながら、スマホをいじる。
「ん、ちょっと応募してて」
「何を?」
「読者モデル」
「えーすごー」
まあ、どうせ落ちるだろうけど。いくらレイナでも、無理でしょ。
どうせなら私のほうが受かるんじゃ?
レイナは美人だけど、服のセンスは私より良くないし。インスタのフォロワーが、何よりの証拠だよね。私のほうが多いんだよね。まあ、彼氏効果もあるのかもだけど?
でもまあ、表面上は応援しなきゃね?
「がんばれ、レイナ」
「ありがと、姫奈」
レイナは目を細めて笑う。私もニッとほほ笑む。
「だって仲間じゃん」
そう、仲間だと思ってたんだ。――あんな事件が起きるまでは。
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