本編

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授業中、私は夢を見た。 恭平と、私が遊んでいる夢。 幼稚園のころだ。私が転んで、周りはそれに気づかないまま通り過ぎる。 なのに、恭平だけが気付いて戻ってきてくれた。 「姫奈ちゃん、大丈夫?」 「恭平……どうして?」 「いつも姫奈ちゃんは、ボクが転ぶと振り返ってくれるもん、だから、ボクも」 「……ふええええええん」 「痛くないよ、大丈夫。ボクがそばにいるよ」 (ああ、懐かしいなぁ) あの頃は、恭平が親友だったっけ。 痛みを理解してくれる優しい恭平。   それが、いつしか恥ずかしい存在に変わった。   なんでだろう?  ……恭平が、おしゃれとか運動しないから悪いんだよね。 高校生って、大体おしゃれしないとカースト下がるじゃん。 一人で読書とか、絶対変な目で見られるじゃん。だから私も読書やめたし。 それも理解しないで……。 だから、私悪くない。 *
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