ちょっとした話

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 彼女は、クラスの中ではいわゆる低カーストに属する女子生徒だった。決して影が薄いわけでもなければ、取り立てて目立った欠点があるわけでもない。  強いて言うなら、協調性のなさ(・・・・・・)。  といっても、それは一部のやつらの主張。  カースト上位(・・・・・・)にいるやつらが言えば、それはあっという間にクラスの多数派になり、少数の意見を踏み潰して事実(・・)に簡単に変わってしまう。  そうなってしまったらもう手遅れだ。  でも、スクールカースト転落のきっかけは、どこにでも転がっている。  周りと溶け込めずに、ただ何もせずに落ちてきたやつ。  トップクラスのやつらの気に入らない趣味のやつ。  上位のやつらと会話を共有できないやつ。  空気を読めないやつ。 『……つまんなくね?』  ふと、カースト上位のクラスメイトたちの行いへの不満を口に出してしまった、彼女みたいなやつ。  それが、協調性のなさ(・・・・・・)という、転落のきっかけになったクラスメイトたちの主張に繋がっていたのだと思う。そんなの、僕には関係ないと思っていたけど。
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