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蘇芳が家からいなくなると、辺りは閑散とした。ただスマホのいじる音だけが聞こえてくる。私はただじっとソファの恥に座っているだけ。
このまま昼まで持つかどうか。
「おい」
いきなりソファに座り、スマホをいじっている男に呼ばれた。
「……」
「二人きりなら喋ってもいいぜ。動いても構わねえ」
「……どう、して」
「喋っちゃダメ、勝手に動いちゃだめはあいつの勝手だ。俺が決めたことじゃねえ」
「そう」
「だから好きにしとけ。本でも読んでろ」
やはり私の方を見ることなくそういった。しかし、優しい。
本はどこかにあるのだろうか。先ほど寝ていた部屋に行ってみよう、と思い、立ち上がった。
真っ白で無駄のない部屋。ここがきっと蘇芳の部屋なのだろう。予想でしかないが。
本は漫画や小説など幅広いジャンルのものがあった。本棚は壁際に四つほど、二つずつ並んでいる。それぞれきっちり並べてあり、漫画と小説が分かれておいてあった。そしてなおかつ並び方にもこだわりがあるらしく、五十音順で並べてあった。
「……細かい」
一気に持って行ったらあとが面倒だろう。一冊ずつ取って読もう。漫画は読んだことがないから、少し興味があった。私にも読めるような漫画はあるだろうか。
「あ、……」
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