2.二人で留守番

1/3
0人が本棚に入れています
本棚に追加
/15ページ

2.二人で留守番

 テーブルの上に置かれていた皿はすべて蘇芳が片付け、私はソファの端に座っている。  何もできないのは退屈だが、人間観察は得意だ。  蘇芳はキッチンから出てきて、パソコンのある机の方へ向かっていた。そのまま椅子へ座る。リクライニングチェアでくるくると回った。  「あー暇だなあ」  「人形遊びでもしてればいいじぇねえか」  「そうだねえ、でも僕はもうすぐ学校に行かないと」  時計を見ると、もうすぐ八時を指そうとしていた。  もうそんな時間だったのか。  「じゃあさっさと行け」  「しょうがないなあ、やることないんだよなあ」  文句を言いながら支度を始める。  すぐにそれは終わり、私の方へ向かって歩いてきた。  「名残惜しいなあ」  そう言いながら私の頭を優しく撫でた。  「気持ち悪ぃ。よそでやってくれ」  「はいはい、わかったよ。じゃあこの子の世話よろしくね」  「あいよ」  男は蘇芳の方を見ることなくスマホをいじりながら答えた。だらしないな。  蘇芳は玄関に行ってもなお私の方をずっと見ていた。  そして手を振って玄関を出た。不思議な人だ。     
/15ページ

最初のコメントを投稿しよう!