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2.二人で留守番
テーブルの上に置かれていた皿はすべて蘇芳が片付け、私はソファの端に座っている。
何もできないのは退屈だが、人間観察は得意だ。
蘇芳はキッチンから出てきて、パソコンのある机の方へ向かっていた。そのまま椅子へ座る。リクライニングチェアでくるくると回った。
「あー暇だなあ」
「人形遊びでもしてればいいじぇねえか」
「そうだねえ、でも僕はもうすぐ学校に行かないと」
時計を見ると、もうすぐ八時を指そうとしていた。
もうそんな時間だったのか。
「じゃあさっさと行け」
「しょうがないなあ、やることないんだよなあ」
文句を言いながら支度を始める。
すぐにそれは終わり、私の方へ向かって歩いてきた。
「名残惜しいなあ」
そう言いながら私の頭を優しく撫でた。
「気持ち悪ぃ。よそでやってくれ」
「はいはい、わかったよ。じゃあこの子の世話よろしくね」
「あいよ」
男は蘇芳の方を見ることなくスマホをいじりながら答えた。だらしないな。
蘇芳は玄関に行ってもなお私の方をずっと見ていた。
そして手を振って玄関を出た。不思議な人だ。
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