3.訪問者

1/4
0人が本棚に入れています
本棚に追加
/15ページ

3.訪問者

 「兄さん、この子ちゃんと食べてた?」  「ああ」  「ふうん」  さほどそれに興味はないようだ。蘇芳は自分の膝に私を座らせて頭をなで始めた。悪い気はしない。  「兄さん、この子ずっと何してた?」  「知らねえ」  「なんで?」  「知らねえって」  「ふうん」  蘇芳は私に抱き着いた。さすがに鬱陶しい。  「君は喋らないし、動かないし偉いね。前の子はうるさかったくらいなのに」  「あれが正常だろう」  「そうかな? 言われたことちゃんとできるのが偉い子だよ。ご褒美があるよ」  「……」  蘇芳はもったいぶって言った。  「名前を付けてあげる。それに、普通にしゃべって動いて良いよ」  「へえ、どうしたよ急に」  「いや、この子の声はきっと可愛いんだろうなあって。あと、正直に言って? 僕がいない間何してたの?」  「……漫画、読んでた」  「なあんだ、そうなの。別に言ってくれてもいいのに、兄さん」  「ああそうかよ」  「じゃあ次は名前だね! どうしようか、僕らみたいに色の名前にする?」  「なんでもいいだろ、お前の好きにしろ」  「ん~思いつかないからちょっと調べてくるね!」     
/15ページ

最初のコメントを投稿しよう!