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3.訪問者
「兄さん、この子ちゃんと食べてた?」
「ああ」
「ふうん」
さほどそれに興味はないようだ。蘇芳は自分の膝に私を座らせて頭をなで始めた。悪い気はしない。
「兄さん、この子ずっと何してた?」
「知らねえ」
「なんで?」
「知らねえって」
「ふうん」
蘇芳は私に抱き着いた。さすがに鬱陶しい。
「君は喋らないし、動かないし偉いね。前の子はうるさかったくらいなのに」
「あれが正常だろう」
「そうかな? 言われたことちゃんとできるのが偉い子だよ。ご褒美があるよ」
「……」
蘇芳はもったいぶって言った。
「名前を付けてあげる。それに、普通にしゃべって動いて良いよ」
「へえ、どうしたよ急に」
「いや、この子の声はきっと可愛いんだろうなあって。あと、正直に言って? 僕がいない間何してたの?」
「……漫画、読んでた」
「なあんだ、そうなの。別に言ってくれてもいいのに、兄さん」
「ああそうかよ」
「じゃあ次は名前だね! どうしようか、僕らみたいに色の名前にする?」
「なんでもいいだろ、お前の好きにしろ」
「ん~思いつかないからちょっと調べてくるね!」
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