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「沖田クンだよね?」  佳代は若者に近寄りながらおずおずと声をかけてみる。 「高橋、久しぶり!」  佳代の後を追ってついてきた子供たちは二人のやりとりを真剣な顔をして見守っている。 「この前、千夏が話していたお兄ちゃんよ、佳代センセイ、会えてよかったねえ!」  千夏が大きな声を上げる。 「千夏ちやんありがとう。今、顔を見て思い出したのよ。このお兄ちゃん、高校の時の同級生の沖田クンっていう人なの」  千夏と夏子は早速、沖田の作業服の袖を引っ張ってその日焼けした顔を下から食い入るように見つめている。六年生の沙羅はさすがにそんな馴れ馴れしい態度は取らない。いつもの通り、一歩下がって沖田と佳代のやりとりをじっと観察している。 「俺、今、親父の跡を継いで牛飼いしてるんだ。そうだ、和田聡子とこの前、偶然に会ったよ。高橋のこと気にしてた」
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