10/21

2人が本棚に入れています
本棚に追加
/47ページ
「貴重な若手が集落にいると、みんな元気を貰えるのよね。で、とにかく肝心なヨメの話はどうなの?」  和田聡子は、畳みかけるように沖田に問いかけた。沖田は風向きが自分の方に変わったのでもう勘弁というような目をして聡子と佳代の顔を交互に見つめた。 「結婚って、めんどくさいよ。お二人にはやめなよと言いたい気も半分あるのよ。特に私らは学校の教員だから、佳代も分かっていることだけれど、定期テストの時なんか滅茶苦茶忙しいの。パートナーのことなんか構ってられないの。そんな時、どれほど独りになりたいか、この気持ち分かって貰えるかしらねえ?」 「結婚していない俺には聡子の心理は理解しがたいものがあるけれど、そんな気持ちにまでなるんだったら別れようとは思わないのかい?」 「私の場合は今のところそこまでは思わないわね。ダンナも、極端なわがままではないからね。とにかく私、性格がいい加減だからそれが却っていいのかもね。ダンナに理想を求
/47ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2人が本棚に入れています
本棚に追加